ネット上でグラフでボクシングのレビューをしていただきました。ありがとうございます!
ゲームの開発者としてなにが嬉しいかってユーザーから反応が返ってきた時に尽きます。
しかもグラボクは2000年公開の古い作品です。こうして息の長い作品になったのは本当に感慨深いです。
過去、こういったウェブページがプロバイダーのサービス終了などで消失してしまう経験を何度もしてきました。
執筆してくれた方とコンタクトを取る手段がなく転載の許可を頂くことができず心苦しいのですが、念のためこのブログに転載させていただきます。
グラフでボクシング
まえがき
長いです。
文章量が他と段違いです。それだけハマったということです。
ここだけ口調が違いますが、めんどいので放置する方針です。ご理解いただければ幸いです。
ですです。
余談
私はボクシングが嫌いだ。
スポーツだと呼べば聞こえはいいが、殴って気を失わせるなんてとても健全と呼べるような内容ではない。
イメージも悪い。ボクサーというとどうも髪は金髪で性格は難あり、という印象が強い。
スラっとしたイケメンが爽やかな汗を流しながら戦っている姿というものは想像できない。
格ゲーやってる身で言うのもおかしな話だが、そもそも私は「殴る」という時点で好きではない。
昔大食い番組の影響で窒息死、ということがあったが、ボクシング番組の影響で顔面骨折、ということもあり得るのではないか。
もしボクシングが流行ったら子供が教室で殴り合いをするかもしれない。
直接肉体に影響を与えるようなことは危険だからやめるべきだ、と考えてしまう。
概要
…さて、本題に入ろう。
グラフでボクシング
このグラフでボクシングについて言葉で説明するのは難しいが、あえて説明するなら、
「ランダムに生成されたボクサーの試合をひたすら見守るゲーム」
という具合だろうか。
システムとしてはその名の通り「グラフ」を使っており、これが試合展開を表現している。
試合が始まると左から右に向かって、上下に動きながら折れ線グラフが伸びていく。
このグラフは上に伸びていると自分有利、逆に下に伸びていると相手有利という意味を持つ。
例えばグラフが上昇を続け、上いっぱいに達した場合は相手をKOしたということになる。
上下どちらにも達することなく右端に到着し、試合が終わった場合は判定に持ち込まれる。
…この説明を読んでも、面白そうだとは思わないだろう。
私もダウンロードする前に説明文などは読んだが、よく理解できなかった。
また、私の場合は先述の通りボクシング自体嫌いということもあり、さらに期待度は低かった。
しかし、そんなことは一度プレイすれば関係なくなる。
はっきり言おう。最高にエキサイティングなゲームだ。
操作
プレイヤーが試合中にできることは、ない。戦えないボクシングゲームだ。
こう言われると育成シュミレーションと思われるかもしれないが、このゲームでは本当に何もできない。
パワプロのように練習を選ぶこともない。稀にミニゲームや選択肢も出るが、育成と呼べるほどの内容ではない。
ダイアログに表示される文字を読み、またゴングを鳴らす。
これが我々にできる操作である。
演出
このゲームには絵がほとんどない。
試合中は自分の姿が表示されるが、サイズは僅か32×32。画面における面積比は0.3%しかない。
試合中はグラフに視線が集中するので、あってないようなものだ。
BGM・SEも合わせて19種類。当然実況も無ければ観客の歓声も無い。
開始と終了を告げるゴング、それとパンチ音。普段の試合ではこれぐらいしか流れない。
しかし、その分一つ一つが極めて素晴らしいのだ。
素晴らしいといっても、絵が綺麗だとかBGMがオーケストラだとかそういうことではない。
絵はそんなに上手いわけではない。だいたいまずサイズが小さいから表情どころか口すら分からない。
BGMだってオリジナル曲ではないし、ちょっと探せばもっと上手いmidiが山ほど見つかるだろう。
では何が素晴らしいのか?
これは実例を出した方が分かりやすいので、BGMに着目する。
なんとプレイ中に聞けるBGMは1種類しかない。
しかもこの唯一のBGM、普段は流れない。全く流れずに1プレイが終わることも多い。
だが、これをマイナスに捉えることはない。むしろプラスである。
無音のおかげでグラフをより集中して見るようになり、緊張感が生まれるのだ。
また、試合中ほぼ唯一のSEであるパンチ音。これも無音のおかげでより印象的なものとなる。
BGMがなくても、ではない。BGMがない方が、いいのだ。
「今どきBGMなんてあって当然だろうに。やる気あんのか」などとプレイ前には思うかもしれない。
しかし、一度プレイしてみれば、己の間違いに気づくだろう。
どちらがよりボクシングの緊張感を味わえるか。
ではそのBGM、一体いつ流れるのかというと、絶妙なタイミングで流れる。
これは実際に体験してみてほしいので、あえて言葉を濁させてもらう。
しかし、その普段流れないBGMがゲーム中で流れる瞬間。
このタイミングが絶妙なのだ。
私は初めて聞いた時、同じ曲でもこうも変わるものなのかと感動した。
この文章を書いている途中で一度プレイして実際に聞いたのだが、少し涙が出た。
技術力
では、なぜここまで厳選されているのだろうか。
私は最初、現代のハイスペックに任せたゲームへのアンチテーゼ(対抗)だと考えた。
それでは、readmeからその理由を引用しよう。
「残念ながら私の勉強不足で、製作に以下の制約が…
- キャラクター表示や移動ができない。
- コントローラーによるリアルタイム操作ができない。
結果、ボクシングにおけるアクション要素を再現させるのは
私のプログラミング技術では無理と判断しました。」
私は驚愕した。意図的な演出ではなく、技術不足で不可能だっただけなのだ。
しかしこれが結果的に良い方向へと繋がる。
アクション要素を諦めたからこそ、グラフを使うことを閃くことができたのだ。
もしこのときアクション要素を諦められず、HSPを深く学ぶことを先に選んでいたら。
そのゲームを作ることはできたかもしれないが、ここまで魅力的なものではなかっただろう。
素晴らしいゲームに必要なのはプログラミングの知識ではない。
熱意とアイディアなのだ。
おすすめ度
★★★★★+
ボクシング嫌いの自分が感動するほどのバケモノ作品(いい意味で)。
感情移入できる人に超おすすめです。
感情移入できなくてもゲーム作る側の人間なら絶対プレイしておくべき。必修。
関連リンク
グラフでボクシング公式HP
実写でボクシング公式HP
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