2016年10月3日月曜日

ボクシングゲームの歴史

すぐに書き終わる記事ではないと思うので、何度も何度も追記していく事をご了承ください。


紀元前1450年頃 ボクシングをする少年の壁画(関連記事 1

火山灰によって覆われたため良好な保存状態(とはいえ平面個所は後に書き加えた様子)となった最古のボクシングの記録。
グラブは片手のみなので、殴る以外の攻撃も許されたのかもしれない。足を前後させた構えから、左右拳の機能差やフットワークも利用したと考えられる。
現在の2D系ボクシングゲームと同じ、向かい合ったボクサー二人を横から見た視点で描かれている点が興味深い。

紀元前500年頃 ギリシャの壺(競技者への賞品?)

右の選手はすでにグロッキー、ダウンする寸前だが、左の選手は次の危険なスイングを開始している。
当時の壮絶シーンを描いた美術品、2500年を経てなお伝わるスリリング!

1867 クインズベリールール制定
正方形のリング、1ラウンド3分、インターバル1分、グローブ着用、10カウントでKOなど、現在のルールの基礎となっている。
反則として、ベルト以下への打撃、倒れた相手への攻撃、蹴り技、頭突き、目玉えぐりなどがあるが、逆に考えるとクインズベリー以前はこれらが許されたという事。

1952 白井義男、日本人初の世界王者に
カーン博士というボクシングの専門家ではない人物の指導を受けた末の栄冠。大人気だったピストン堀口のラッシュ戦法とは対象的に、動いて動いてジャブストレートで優位を維持し続けるスタイルだった。
後に深刻な痴呆症となったカーン博士だが、白井夫婦は博士が亡くなるまで献身的に世話をした。当時は美談として語られたが、実際は大変な苦労であっただろう。

1968 あしたのジョー連載開始
過酷な減量、死亡事故、パンチドランカー、世界王者になれずに終わる、といった、ボクシングの影の部分をしっかり描いた不朽の名作。
同階級における日本人ボクサーの長身傾向は、同作における「ボクシング=減量」の印象があると個人的には思っている。

1980 BOXING(動画 1

Atari 2600 で発売されたボクシングゲーム。競技者視点でも観客視点でもなく、真上から見た視点を採用しているのが興味深い。
両選手ともに前拳後ろ拳の概念がない酷いフォームなのでボクサーというより素人の殴り合いを思わせる。
英文レビューにやたらと「指が痛い」と書いてあったので、間違いなく連打ゲー。

1981 電卓ボクシング BG-15(関連記事 1

ボクシングゲーム黎明期の作品にもかかわらず、「隙を探して打つ」というボクシングの真髄を再現している。
ボディ打ちの際にやたらと腕が伸びているのが面白い。

1982 MZ-80K BOXING(関連記事 1

雑誌I/Oに掲載されたオールマシン語で作成された個人作品。
防御の重要性、強力なストレートには二倍カウンターのリスクなど、ボクシングのエッセンスが多分に含まれている。CPU戦だけでなく2P対戦もあり。

1983 Rocky Super Action Boxing(関連記事 1

映画ロッキーのゲーム化(対戦相手がミスターTなので3以降)。レフリーもいい味出してる。
コントローラがかなり特殊。

こりゃ大変そうだ…

1984 チャンピオン・ボクシング(関連記事 1

後にバーチャファイターを製作した鈴木裕氏のデビュー作。
ドット絵は当時新入社員だった女性スタッフ。言われてみればキャラや動きがコミカルでなんとなく少女漫画っぽい。後年の雑誌記事に「ゴングのドット絵にもっとも苦労した」とあり、拳闘そのものへの熱意はそれほど高くなかった模様。
この翌年に鈴木裕氏が3Dバイクレースの名作、「ハングオン」をリリースするって信じられますか?!

1984 アーバンチャンピオン(関連記事 1

立ち位置、顔面とボディの分離、パンチの強弱といった本格的な拳闘要素を再現したゲーム内容。
ただし、敗北条件が背後のマンホールへの落下なので、後方へ下がるアウトボックスに利点がなく、前へ前へと進むファイタースタイルが必須となる。
植木鉢を落としてくる住民、パトカー巡回による中断、といったボクシング以外の要素がイヤらしい!

1987 ファミリーボクシング(関連記事 1

能力値を振り分ける要素、弱っていく様の再現、踏み込み強打やヘッドスリップの操作感覚が秀逸。時間経過で回復するので逃げ回る価値があったり、攻めようと思っているのにクリンチになってしまうシーンも現実的。
2P対戦の出来もよく、今でも遊ぶ価値がある殿堂入りボクシングゲーム。

1987 マイクタイソン・パンチアウト(関連記事 1

自分から攻撃するのではなく、相手のパンチや癖に反応していく後攻めがメインとなるゲーム内容。
攻防の再現としてはかなり偏っているが、豊富なキャラクターによる多彩な演出が素晴らしい名作。
主人公リトルマックが後にスマブラへの参戦を果たすとは驚いた。(が、Wii版の容姿が採用)

1990 パウンドフォーパウンド(関連記事 1

操作機器はトラックボール、真上から見た視点、など新しい体験を与えようとした意欲作。アーケード作品だが私は見た事がないのであまりヒットしなかったようなのが残念。
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プレイ経験のあるぼおんさんより情報!
パウンドフォーパウンドはトラックボールを横にフィーとやってパンチのフックが強かったですね。ゲームとしては操作が特殊過ぎて面白さがあんまり分からなかった印象。
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パンフレット画像

1991 4DBOXING

初のポリゴン格闘ゲーム(諸説あり)。
単に立体化しただけではなくキャラエディットや視点変更なども搭載した意欲作だが、立体化した事による問題点も目立った。

1993 リディックボウボクシング(関連記事 1

顔面とボディのダメージを別にカウント、多彩なキャラメイキング、年齢による劣化…。
当たり判定が大味だった前作ホリフィールドボクシングのブラッシュアップ版となる本作は、まさに2Dボクシングゲームの集大成と言える。
ただし、数々のドラマを演出する「カウンターパンチ」の概念がないのが惜しすぎる。

1995 キングオブボクシング

3Dボクシングとして見た目はいいのだが、実際にプレイしてみると、どのカメラアングルにしても距離感が掴めないため、かなりストレスが溜まる。
パンチがヒットした際の表現にも違和感があり、ボクシングを3Dゲームとして再現する難しさばかりが目立った。
男女混合ルールの採用だったが、女性を殴るのはゲームの中だとしても精神的に辛かったなぁ…。

1995 ボクサーズロード

名作の誉れ高いが、残念ながら未プレイ。
通ぶってセガサターンを買ってしまった事を悔やんだ…。

2000~ グラフでボクシング(関連記事 1.ダウンロード

グラフの上下推移を見守る事しかできない特殊なゲーム性ゆえ、試合中は祈るような気持ちになってしまう異色作。1プレイ数分で終わることもあるが、稀に映画のようなボクサー物語を堪能できる。

2004~ 実写でボクシング(関連記事 1.ダウンロード

ボクシングゲームの集大成を目指して、個人により開発された作品。
HSPコンテスト2004最優秀ゲーム賞を受賞後、全国の100円ショップで販売された。その後、ネット対戦にも対応し、現在では無料配布されている。
ボクシングの表現として「横から見た2D表現」を選択しているが、これは紀元前の「ボクシングをする少年」の絵画と同じである。3500年前とイコールで結ばれている!

2009 パンチアウト Wii(関連記事 1

名作パンチアウトが3Dになって帰ってきた!
が、ゲーム性にこれといった変化はなく、良くも悪くも手堅いリメイク。
前作同様、どこかの時点で勝てない相手に何度も繰り返し挑むゲーマー根性が試される。

2019 東京2020オリンピック The Official Video Game

収録された多くの競技の中に、ちゃんとボクシングも含まれていることに安心。(近年、安全性に問題があるとして、競技の存続すら問題視されているので…)
ゲームとしてはリアルにサイドステップが再現されている。が、拳闘の肝となるスペース管理、前後のステップを排除した判断はどうしても賛成できない。
常に打ち合いを強制される内容は盛り上がるが、オリンピックボクシングの再現として違和感あり。

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