2010年5月20日木曜日

リディックボウボクシング

私がボクシングゲームを作り続けるうえでもっとも大きな影響を受けたのは、スーパーファミコンの「リディックボウボクシング」です。



リディックボウ、この実在する大男(196cm)の説明はしません。
(ボクサー、特に元王者が事件をおこすと悲しくなってしまう)

これは純粋なボクシングのゲームです(街角が舞台ではない!)。

特筆すべきは、人間が壊れていく、失っていく様の再現です。

打てば疲れるし、打たれればその部分に応じて傷つくし、更には歳をとって白髪となり、着実に打たれ弱くなっていく…

疲れると当たるはずのコンビが当たらなくなったり、避けられるはずのパンチが避けきれなくなったり…

刻一刻と変化していく様、このゲームが娯楽の追求というより、ボクシングというスポーツの再現を目指しているのがわかります。

が、痛恨の極み!
ボクシングの花「カウンター」の存在がすっぽり抜け落ちている。

アッパーの空振りにここぞの右をガツン一撃!
直後にケロリとした相手が平気で向かってくる違和感。

単なる殴り合いを知的芸術にまで引き上げるあの輝き、凝り性の制作者が知らなかったとは、私には到底思えない。

更には、ストレート。あるにはあるが、両腕ともジャブ。
まったく腰をひねらず手打ちするヘビー級にガッカリ。
(ま、そのメリットもあるにはあるけどさ…)


上半身だけで足運びを表示しないのは、絶対に正解だと思う!(アラがでない)
腰をひねらず腕だけが伸びるストレート。うぅ~、気持ち悪い! ビシッと打てよ!


右ストレートを軸に戦ってきた自分にとって、この物足りなさは残念無念、とにかく悔しい。

最も体重が、最も気持ちが拳に宿る右。

鉛筆だって、箸だって、ボール投げだって…
子供の頃から自在に動いてくれた右。

右、これをどう相手に当てるか。いや、ただ当てるだけじゃない。

強がっているけれど本当は疲れやすい自分、数は限られている。

深く、できる限り深く、狙った末の全体重、渾身の正面衝突。
相手にとって意外そのもの、予想すら出来ぬ死角からの衝撃。

夜も眠れないほど考える価値がある、その瞬間。
自分のボクシングの全てといったっていい、その瞬間!!!

それがすっぽり 「ない」

(なぜだ~! なぜなんだ~っ!!)

自分でボクシングゲームを作る!という原点。
今ここに書いたことで、はっきりと自覚できました。

現実・自分のボクシング、仮想・ゲームのボクシング。
どうだっていいことなのかも知れないそのギャップ。

耐え難い違和感。
自分の一番得意なことが否定されたような気持ち。

…満足したい、ただそれだけ。
(きっと満足した時に実写でボクシングを作り続けるこの日常も終わるんだ)

ルーツオブ実ボク。とっくに忘れていた原点。
記したことで再確認できてよかった…!

-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-



Windows用フリーソフト「実写でボクシング」
ダウンロード
HSPプログラムコンテスト2004最優秀ゲーム賞、受賞作品。
100円ショップダイソーでも販売、無料でネット対戦可能!

-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-

メガドライブでボウに先駆けてホリフィールドボクシングが発売されています。
こちらはボウボクと比べると、パンチの当たり判定が曖昧で肝心の試合部分の出来が良くありません。
が、各種モードやゲージなどの仕組みはしっかりしており、名作ボウボクに続く道であることは確かです。

2010年5月15日土曜日

影響を受けたゲーム

実ボクに影響を与えた市販ゲームを紹介します。

まず外せないのが、ファミコンのアーバンチャンピオン。
理由もわからず相手といきなり街角でボコボコ殴り合う内容。
(ちょっと目があっただけなのに…)

ゲーム中に「ボクシング」という言葉はまったく出てきませんが、
パンチの強弱、上下の打ち分け、ガードとスウェーバック…
その内容は、ボクシングの要素を多分に含んでいました。
(ちなみにロッキー5の終盤は、ほぼアーバンチャンピオン状態。
教え子とトレーナー、素手の危険性は互いに知っているだろうに!)

ただし、後方のマンホールに落ちやすくなってしまうので、
バックステップによる距離調整や誘い込む要素はありませんでした。

体力メーターも見えない状態で存在しているらしいのですが、
当時のプレイでは感じられず、相手を空転させ疲れさせる要素もなし。

細かい点を指摘すればキリがないのですが、
そもそもこれはボクシングゲームではありません。
(すっかり忘れていた!)

にも関わらず、随所から感じられる拳闘エッセンス。

制作者が発売年の二郎vsパヤオを参考にしたかは知りませんが、
とにかく相当なボクシングファンであると勝手に予想してしまいます。

しっかりしたコア、シンプルな内容はまさに殴り合い入門編に相応しく、
1984年(カープ優勝、スクールウォーズ、エリマキトカゲ…)の時点で
ここまで実装してくれた制作陣の作り込みに心から感謝します。

2010年5月2日日曜日

長谷川と西岡、Wタイトルマッチ

全国のボクシングファンが3Rの長谷川マジックパンチに痺れ、
続く4Rも慎重に終えようとしていた、その時…

結構な近距離でも重心真ん中を維持するのはメキシカン特有、
いつでもハードブロウを打てるスタイルから…

まともだった。
更に重心を維持したまま、また打ったWBO王者。

あれで倒れない長谷川の精神力に驚かされるが、
すぐさま追いかけて仕留めるモンティエルの集中力ときたら…

凄い試合だった。凄い10秒だった。凄い二人だった。

負けたが、なんだろう…。
決して株を落としていない、そんな負け方だと。

ただ、ただ、敢えて言うと…

最後、侵入したのは長谷川。リードしていたラウンドの最後の10秒。
確かに不用意だった…(結果が全て、か…)

-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-

西岡の試合、こちらも熱い試合でした。


初回、西岡のジャブポンポンから半歩踏み込みストレート。
ハードヒットッ!!(見切るの早すぎ♪)

あんたねぇ…、凄いストレート打つねぇしかし。
下がって挑戦者もエスケープしているのにあんなに深く。

ボクシングって私も含めて、大方キャリアを積むと、
小さくなっていくモノだと思っていたけれど…

西岡の努力と目指し続けるボクシングに震える。


2R、右を食った西岡。この挑戦者が無敗だと思い出す。

左のワイルドスイング、右のショート、二人いるみたいだ。
顎の引き方も打点の高い西岡のストレートをスリップさせそう。

確かにイヤなスタイルだ、長引かせたくない。


3R、おっ…、二人の頭の高さが同じになった。
西岡がスタンス広げてストレートの打ち出し位置を下げている。

なるほど、あの引いた顔面にストレートをマトモに当てるためか…
あの葛西裕一がセコンド、一緒に戦っているのがなんとも心強い。
(ifの練習をしている時点で陣営が持つ意識の高さを感じる)

ボディにストレート! 相手がそれをほぼシカトすると、
すぐさま同じ場所に同じ攻撃、またシカトされるとまた同じ攻撃!
(同じ事3度やっても反撃こないはず!という西岡の確信が凄い)

どれもハードヒット、バンゴヤンの混乱が顕著に…。


5R、混乱したバンゴヤンの顔面ど真ん中だった。
高さぴったり、ストレートがスリップせずにズドン!

美しかった。世界戦でここまで美しいクリーンヒットを拝める幸せ。

この挑戦者も運が悪い、この日の西岡は強すぎた。
ランキングは10位だけど、決して弱いボクサーじゃない。

序盤、ボディを食らわせると西岡の口が開いた。
もしかしたら、西岡のスパートも必死のスパートだったのかも…


素晴らしい世界戦でした。