2013年2月21日木曜日

実写でボクシングのゲームバランス


先日、あるユーザーに「実ボクはゲームバランスがいいですね」と褒めて頂きました。嬉しかったのですが、同時に疑問も浮かびました。

ゲームバランスってなんだろう?

私自身がよく理解していないこの言葉の意味を「理解している方がいたら、教えてください」と実写カフェに書き込んだら、UME氏が的確な回答。

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~ ゲームバランスとは ~

格ゲーにおけるキャラ間のバランスであったり(キャラ性能に格差がありすぎたり、相性で勝てない相手に何やっても勝てなかったり)、技の性能バランスであったり(例えばスト2で、昇竜拳の無敵時間が2倍で前方向にもっと進める技だったら竜巻旋風脚の出番なし)、RPGだと難易度のことを指したりします。

ゲームバランスがぬるい、簡単なゲームでのやりこみは、ユーザー自身が課題を設けたりしないといけなくなります。(低レベルクリア、早解きなどの「縛りプレイ」)

実ボクは、全てのパンチに使いどころがあり、全て使える人間でないと勝っていけない。そこのバランスは完璧だと思います。(体力低めの設定がまたなんともいえず絶妙!)

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ちなみにこのUME氏、リズムゲーム全般の達人で2008年3月に行われた大会では全国2位を獲得している(音ゲーをプレイしている動画)。(んで、確かな目を持つボクシングマニアでもある! まさに実ボクプレイヤーとしてドンピシャの男!)

なるほど、褒められた部分はこの部分なんだな…

・実ボクは、全てのパンチに使いどころがある

ボクシングは長い歴史の中で、技術ひとつひとつが磨き上げられまくっている。
(なので淘汰された技術も数多い。黎明期にはスイングという肘を曲げないフック系パンチも主武器の一つとして存在していた。)

各アクションが厳選されまくった上で成り立っている現代ボクシングが題材なのだから、実ボクのゲームバランスがいいのは当然かもしれない。

そう、ボクシングそのものが最高に素晴らしいのだ!



ゲームバランスという言葉を意識していませんでしたが、開発する上で「じゃんけん」をたくさん散りばめよう!とは考えていました。

例えば…

フックは相手がガードしていてもゲージを削ってしまう強力なパンチですが、ダッキングアッパーされた場合に甚大なダメージを受けてしまう。

ダッキングは多くの顔面攻撃を無力化できますがアッパーにからきし弱い、スウェーは全ての顔面攻撃を無効化できますがボディフックには弱い。

これらの「じゃんけん(的要素、実際には3すくみではない)」が攻防のせめぎあいとして機能しているのは、開発者である私の意図(デザイン)通りと言えます。

が、実際に実ボクのネット対戦をしてみると、デザインした記憶のない場面が山ほどあることに驚かされます。


例えば…

開始ゴングから数秒間、前ダッシュの入力速度やポジショニングの妙が生み出す場面。

出足が遅かったり、数ドットだけ前に来ないと(あ、弱気になってるな)とか、心理的な要素がヘッドギアの奥に表示されているような気がします(実際には表示されていませんが)。

開始の立ち位置やダッシュの幅は直感的に決めましたが、ゲームとして絶妙っぽいです。


3名いるジャッジの採点基準はデザインしましたが、基準が生み出す攻防は予想外でした。

Aばかりを重視すれば、Cはなかなか取れないし、Bを取って守りに入ってしまえば A Cともに取られる…。

各ジャッジそれぞれの採点基準も実際にジャッジが割れる際の傾向を再現しただけ、決してゲーム的な計算をしてデザインしたのではありません。


「ゲーム」って辞書を引くと「勝負事」と書いてあります。

勝負事で最も熱くなる状況、それは勝てるのか負けるのか釣り合っている状況、いわゆる「じゃんけん」かと!

ゲームのあらゆる場面に「じゃんけん」を用意すると、デザインした以上の「じゃんけん」が生まれるかもしれません!



後年、テクニックの優劣を一覧表にしました。実ボクのゲームバランスを視覚化することで新人さんの助けとなれば幸いです。





その後、実写でボクシングは色グラブによる能力差を導入しました。

実写でボクシング、グラブ色でタイプ変化!

これはさすがにボクシングの再現だけでは難しく、ゲームバランス(キャラのバランス)をかなり強く意識しないと、褒められるレベルには至らない修羅場でした。

実ボクの開発は私の力不足でいつの間にかテストプレイをユーザーに依頼して進んでいく方法となってしまい、多くのユーザーが半スタッフとして力量を発揮してくれました。

と同時に一部ユーザーの権限が強くなりすぎてしまって、私が納得できない要望を何度も何度も伝えてくるような状況に何度か陥りました。

実ボクを愛してくれているゆえのぶつかりあいは本当に辛い出来事でしたが、苦しみぬき、苦しみぬき、今では「実ボクの色グラブによるバランスは一定のレベルに達することができた(のではないか)」と手応えを感じています。


が、今後、色グラブに起因する新テクニックが生まれ、それに対抗できる「仕組み」が存在しない、もしくは弱かった場合、開発者として私は新テクニックに対抗できる「仕組み」を用意します。
(せっかく編み出した新テクニックが弱体化させられるのは本当にイヤでしょうが…)

その新しい攻防がボクシング的だとしたら…、実ボクの厚みは増したと言えるでしょう。

新テクニック、募集中!


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