キーンコーンカーンコーン…
二月十四日、終業のチャイムが鳴りおわるよりも早く、ヨンドバックは薄っぺらい革カバンを振り回しながら廊下に飛び出した。
(今日のスパーリングでは新しいワンツーを試すぞ~!)
ボクシングバカの彼にはバレンタインデーなんてまったく意味がない。
一刻も早くリングの上で試してみたいテクニックで頭の中はいっぱいだ。
しかしそんな彼でも下駄箱に入っていた封筒にはギリギリ気がついた。
女性の字で「私の真心を受け取ってください」と書いてある。
(まごころ…?)
ほのかに自分の足の匂いがするそれを嗅ぐと、彼はビリビリと中身を取り出す。
名刺サイズのCD-Rが一枚入っており、黒のマジックで太く
「実写でボクシング フリー版」と書いてある。
説明書と思われる紙切れにはインストール方法などと記されているが、パソコンを持っていないヨンドバックには意味すら分からない。
(…?)
混乱したのは一瞬だけ、なにも見なかったことにした彼は、隣の下駄箱にCD-Rを乱暴に放り込むとニコッ、ジムへと走っていった。
(ワイワイガヤガヤ)
30分後、隣の下駄箱を開けたのはクラスで最も地味な男だった。
(わっ、なにか入っているぞ! ま、まさか!?)
なんだか確認もせずポケットにそれをねじこむと、顔を真っ赤にして足と手を同時に動かしながら校門を後にする。
(彼が上履きのままだと気がつくのは自宅玄関である)
この時点ではなんとも頼りない男だが、先に言っておこう。
彼が後に実ボクの初代チャンピオンとなる、あの男である…
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
という実ボクとユーザーとの出会いを勝手に妄想してみたが収拾つかず。
(バレンタインデーと絡めた意味はあるのだろうか…)
(そもそもCD-Rは誰が入れたんだ?)
(でもなんか学園設定で書くだけでわくわくするのはなぜだろう…)
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
実写でボクシングとは…
2Dタイプのボクシングゲームでネット対戦に対応しており、2004年にはHSPプログラムコンテストにて最優秀ゲーム賞を受賞しています。
リアルタイムに反映される世界ランキング・チャンピオンベルトを巡るタイトルマッチなどにより日々100~300のスパーが行われています。
ネット対戦に参加するには、オフラインモードで基本技術の習得をする必要があります。体験版と銘打ってありますが、ほぼ制限なくネット対戦を楽しめますので、興味のある方は気軽に挑戦を!
実写でボクシング公式HP
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