2012年1月1日日曜日

内山 vs ソリス

王座獲得時から内山陣営が待望していた統一戦でしたが、この戦いは個人的には危険なカードだと思っていました。

互いに体を立てて戦う二人の主武器は右ストレート、ワンツー。

互いのベストショット、出会い頭の交通事故が序盤からあってもおかしくないスタイル的な相性に加え、内山が悩まされている右拳痛により、今回はとにかく左を練習したという試合前のオフィシャル情報。

本来ならリードブローがあるって事は素晴らしいことだけど、その磨きかけの左ジャブにソリスの右が被ってきたら…。(三浦がドンピシャを決めたシーンはソリス陣営もチェックしているはず)

実際に試合が始まると互いの得意な距離=危険な距離でどう大砲を当てていくかの神経戦となる。

当たる距離でソリッドブローを放つソリスに対して、内山はグイグイ前へ前へと外していく。小さなヘッドスリップが何度も何度もそりゃ見事、打ちながらも常に防御意識が先にあることに驚かされる。

徐々にソリスが圧力に負けはじめ、重心が後ろ足に逃げ始める。打ち返しがない体勢を確認するとダイナマイトに着火、慎重な強打者内山が徐々に攻撃思考100%のストレートを混ぜてくる(これがまた迫力ある!)。

ソリスも何度か相打ちタイミングで反撃を試みており、内山に怖さを感じさせるべく努力をしていた。が、その勇気がラウンドが進むごとに目減りしてくる。

緊張感のある、いいタイトルマッチだな…、年末にこんなプレッシャーを堪能できる幸せ。(自分が食らったら早々に心が折れちゃいそう)

10R、ソリスの顔面に強打が入り防戦一方に。だが、致命打を避けるべくソリスも必死だ。

終盤だけに内山のスタミナロスが心配されたが、動く顔面には見向きもせず、動かないボディにグサリ一発。なかなかできないことなんだけどなぁ…、ナイスチョイス。

11R、本来フックというのはスイングするパンチである。

内山のフックは以前から思っていたのだが、普通に考えればスイングが小さすぎる。
というか、ほとんどスイングしていない。悪く言えばハエタタキのようであり、本来ならダメージングブローになりえない。(私は新人に指導する時、同様のフックを何度か修正させてしまった記憶がある)

が…。

ソリスはこのフックを食らい強烈なダウン、目の上からドクドクと出血したまま10カウント。どう考えても甚大なダメージを受けている…。

すげぇ…。
何年も見ているボクシングだが、今のパンチは凄い。遠心力に頼ることなく筋力だけであのインパクトは尋常じゃない。

いや、今のパンチだけじゃない。内山の全てが凄い。詳しくは書かないが、彼の右ストレートの軌道も理想と言われるまっすぐ軌道ではなく、一旦上がってから下がるというか、アメージングな軌道を描いている。私のボクシング観そのものを変えるような素晴らしいボクシングだった。

サルガドの時も凄いと思ったが、私は当時のサルガドの実力やモチベーションに疑問符を付けていた。が、今回のソリスは実績もあり、試合中も王者たる素晴らしいボクシングで堂々と渡り合っていた。

内山は凄い。
もっともっともっと見てみたい!

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