格ゲーの問題点(ゲームプログラマー栗坂こなべ氏)
(格闘ゲームを)純粋な対戦ツールとしてみた場合、ルールを予め提示出来ない(主に複雑度が遠因)ことかな。
「提示されたルールで最適解を求める」という基本的なことがインストカードのみでは不可能。
これは複雑度や初心者上級者論とゴッチャにされやすいけど、本来別軸の問題。
複雑度と腕の差が付く問題をゴッチャにされて語られるのが前々から気になっているけど(遠因になるのはわかるが)、個人的には
- ルールはシンプル(誘い易い)
- 奥は深い
- 腕の差は付く
シンプル明瞭で奥深い格ゲーの究極系、真面目に実ボクだと思っているので、初心者から上級者までお薦め。
実写でボクシングの名前を挙げていただき嬉しいです。
ボクシングの攻撃・防御を実写で再現し、相応のダメージ設定をして、野に放った結果、「シンプル明瞭で奥深い」と褒められる!
題材としているボクシングそのものが「シンプル明瞭で奥深い」んだな、と再確認できました。
実ボクはボクシング競技の再現が土台なのですが、もちろん格闘ゲームとしてもデザインしています。
私の考える格闘ゲームの根幹部分は「いつでも出せるじゃんけん」です。*1
格闘ゲームの仕組みに熟知していなくても、この根幹部分さえ守ればゲームバランスの破綻(例えばハメパターンの存在)には至らないはずだ、と開発中は常に意識していました。
他に独自かも知れないこだわり要素を箇条書きすると
- いかなる時も無敵時間にしない
- 拳や頭の位置がワープしない
- 自分ができる動きのみに限定する
開発者の私自身がゲーマーとして格闘ゲームの仕組みを追求するタイプではなく、むしろアーバンチャンピオンやファミリーボクシングのレベルで満足できる古いタイプのゲーマーというのも吉と出ているように感じます。
複雑な入力方法による必殺技などを導入していたら、実ボクは別ジャンルのゲームになっていたと思います。
シンプルな入力をここぞの一瞬で押せるかどうか、それこそがボクシング的な反射の再現と言えるでしょう。
というコンセプトで開発していたので、実ボク初公開の時点からシンプルだったのですが、奥深さに関しては長く開発を継続してブラッシュアップし続けてきたのが大きいと思います。
ゲームの得意なユーザー、ボクシング出身のユーザー、若者、中年。
様々なユーザーによる膨大なサンプル、私は開発者として幸せな環境にあったと思います。
2006年からずっとブラッシュアップを行ってきました。そのペースもなだらかになってきた今、自分の中での到達点に近いのかなと感じています。
開発者として、よりもユーザーとして、の割合を増やしていきたいなと最近では思っています。
「自分で遊びたいゲームを作って、思う存分に遊びたい」
皆さん、私のわがままにお付き合いください!(しかも殴ります)
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*1 バーチャファイターにおける上段中段下段の仕組みが素晴らしい。どの姿勢にもメリットとデメリット、まさにじゃんけん。ただ個人的にどうしてもしゃがみパンチに興ざめする。あの打ち方では割り箸すら折れない。
後日、こなべさんが関連するツイートをしてくださったので以下に追記します。ありがとうございました!
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こなべさん:
格ゲーは技の出しどころを勝負するゲームだと思っているんだけど、この考えをあまり頑なに主張すると、マッチョな格ゲーガチ勢に説教部屋へ連れて行かれるから控えている。
技が簡単確実に出るような操作系にしたら面白くなくなるとしたら、それは練習した先に面白くない世界が広がっているという話で根本的な設計が不味い…というのが自分の考え。
ただ、入力成否も含めてゲーム性であるという主張もわかる。
コマンド入力のレバー状態を駆け引きに使うことも出来るし。
バーチャファイターって元々そういう「技入力は簡単、出しどころで勝負しよう」っていうコンセプトで作ったと思うんだけど、バーチャ2の時点で既にそのコンセプトを否定するような崩撃雲身双虎掌やら独歩頂膝やらラウオィエエエーやらで自殺した印象。
しゃがみPは自分もビジュアル的にダサすぎて凄く嫌なんだけど、アレがゲームシステム上非常に明瞭でわかりやすいのはわかる。
相手に「下段ガードを要求している」「上段をスカす」というのが問答無用でわかる。
格ゲーに立ちローキックやボディストレート(実ボクのは除く)は判り難い。
相手が浮くってのも、無防備な状態が後どれだけ継続するのかが明瞭で格ゲー特有の文化だけどいいシステム。
スラントバックナックルにどんな物理法則が働いたら浮くんだよ?とか深く考えてはいけない。
実ボク、ひとつだけ個人的な難点を挙げると、フックの←+Pってのが簡単そうでかなり難しい。
ガードボタン採用ゲームなので←を押すとすぐに間合いが開いてしまう。
これが射程の短いフックの入力だと致命的で、隙の大きさも合わさって「フックを当てろ」という課題はかなり難しい。入力速さが必要。
フック!→間合いが離れてスカッ→相手の右ストレートズカッ!→ワン、ツー、スリー…大丈夫か? ○○くん→蓄積ダメージでジム退会
サンドバック:
とても参考になります。フックの入力に関して更なる簡略化ができないか、考えてみます。
もし、こなべさんにフックの操作性改善に関するアイデアがあったら、ぜひ!
こなべさん:
難しいですね。十字キーの割当てが余っていない上に、今更ニュートラルと→でストレートとフックを分けたら、従来の操作に慣れたひとが困りますし。
↑+ジャブの入力が余っているので、割り当てるとしたらその辺でしょうか。前後に動きながら打てるようになりますし。
サンドバック:
難しいですよね。考えた結果、フックは拳の軌道もあり、やはり後ろ押し+強打が一番感覚的に納得がいくと思います。↑+軽打は確かに余っていますが、あまりにフックの特性を表していない位置だと思います。
かといって私に代替案がある訳でもないのですが…。ムチャクチャ悩みますね。
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今回は素晴らしい提言をありがとうございました。
ファーストプレイの難しさって通過した時点で忘れてしまいがちです。いい機会なので真剣に考えてみたいです。
ただ掲示板に書き込んでも反響がなかった原因を考えるに、実ボク熟練者としては…
- 後ろ+強打を同時押しすれば後退しない
- 飛び込みフックすれば射程距離は結構伸びる
- 大きい隙・短い射程は、そもそもフックの特性
ただしフックの習得は、初心者が挫折するであろう、難関であることは確か。開発者である自分のボクシングの仕組みを伝道したいという意識とゲームとしての親切なナビゲートの帳尻に悩みます。
悩んだまま、保留になってしまうかな…と思っていたのですが、数日後、掲示板の実写カフェに書き込みアリ。
かねてから操作改善に力を発揮してくれているduane氏から書き込みでした。
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duane:
フックの入力に関しては、同時入力バグの改善の際に大分入力緩和をして頂いたので、使い勝手は格段に上がってると思います。
敢えて問題点を挙げるとすれば、後退からのストレートがフックに化ける(可能性がある)事ですね。
私はカウンターを狙って焦っている時によく出ます^^;
所詮は誤入力・・・といえばそれまでなんですが、違う種類(腕も左右逆)のパンチが出てしまうのは何とかならないかなーとよく思います。
フックボタン欲しいぐらいです(笑)
で、現行フックの改善案なんですが
- ←↑+強打、もしくは←↓+強打でフック
これなら若干の後退で済むと思うし、誤入力も減る気がするのですが・・・。
←↑(↓)同時入力で後退しない設定にする手もありますが、フックの腕の差を付けるという意味では、微速後退は現行のままで良いと個人的には思います。
- 簡略化ではない
- 飛び込みフックの入力がかなり複雑
- チョイ斜め入力は(特にコントローラーでは)難しい
- アッパーやBフックに化ける可能性がある
検討して頂けると幸いです。
*****
書き込みしてから何戦かスパーをしたのですが、フック(に限らず実ボクの)の入力が身体に染み付いてると痛感しました^^;
何らかの形に変えるにしても、現行の入力と並行させるか選択制にするかにしないと、既存のプレイヤーが困ることになりますね。
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サンドバック:
>フックボタン欲しいぐらいです(笑)
キーボードのフェイント専用キーが存在するようにフック専用キーを追加してみましょうか。
それを新人さんが使えるような文面の追加とともに次回バージョンで導入してみようと思います。
>←↑+強打もしくは←↓+強打でフック、を提案
パンチが出ない!という感覚を減らす効果があると思うのでフックに割り当てたいと思います。
やはりキーに関してはduaneさんの出番ですね♪
ありがとうございました!
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という訳で2.98バージョンの更新でフック操作に関する調整を行いました。問題提起してくれたこなべさん、案を出してくれたduane氏に感謝です。
後日、こなべさんが実ボク再挑戦している様子をツイートしていたので転載させていただきます。(楽しい内容♪)
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言えない…
散々実ボクを持ち上げといて実はパンチ操作スパーすら安定してクリア出来ないとか言えないッ…(ネット対戦…知らない子ですね
実は最初のジャブの時点で安定して勝てない。右ストレートは比較的ラク。そっから先はキツいの被弾すると悪循環でドツボにハマって困る。
実ボク最新版を落としてみた。2.97。自分が遊んでいたのは1.10だった。これいつ落としたやつなんだろ…。
どの段階で追加されたのか謎だが、基本技習得時に入力状態が表示されたり、パンチングボールのミニゲームが追加されたりしていた。
今日はジャブ習得ですら詰まって8引き分け。 ネット対戦まで何とか漕ぎ着けたい。
実ボクの基本技習得が安定しないので観念して攻略法を見る。
ストーリーモード攻略(実ボクwiki内記事)
実ボク、ボタン連打でしてて気付かなかったが、よくみたら最初のメッセージに飛び級制度があった。
ボディ打ち習得をあっさりクリア。ってか何故こんな簡単なものに詰まっていたんだ。
そして夢中になり過ぎて昼休みが終わっているので戻ろう。
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