2011年10月19日水曜日

インターネットとの出会い

私が初めて自宅でインターネットに接続したのはドリームキャストという家庭用ゲーム機でした。
インターネット接続の定番、パソコンにももちろん興味があったのですが、どうしても資金が足りず断念せざるを得なかったのに加え、昔からセガハードに愛着があったのでどうせできるのであれば手元にあるこれで!と、当時としては自然な選択だったと記憶しています。

このドリームキャストとは、大本命プレイステーション2に対抗すべくセガが社運を賭けて開発したキラー・ハードです。各雑誌もドリームキャストの可能性を熱く語っていましたが、業界シェアの獲得となると疑問の声が目立ちました。
業界最古株に属する名門セガですが、これまでのゲーム戦国絵巻では苦戦・敗戦の連続だったからです。

マスターシステムはファミコン(任天堂)に、メガドライブではスーパーファミコン(任天堂)に逆転され、期待のセガサターンはプレイステーション(ソニー)と歴史に残る接戦を演じましたがファイナルファンタジーのプレステ移植決定により失速…

敗戦の連続にもめげず、こだわりの独自路線でシェア獲得の夢に向かって前進し続けてきたセガ(ちなみにサービス・ゲームの略!)。切り札ドリームキャストは当時考えられる最新の機能を盛り込んだ結果、現行普及機である初代プレイステーションを遥かに上回る線画能力を発揮、特にポリゴンによる立体表現は見事でゲームセンターの人気対戦ゲーム「バーチャファイター3」でさえ忠実(そりゃコアなユーザーはあーだこーだいいましたが)に移植できました。

更に時代を先取り(と言うか勇み足?)、インターネット通信機能を標準搭載していたので、これまで高価なパソコンが必要だったウェブ閲覧やメールの送受信、ほぼリアルタイムによるネットワークゲームも可能との触れ込み。
当時のパソコンの値段はまだ高価で、最安値でも15万円近かったと記憶している。僅か3万円前後でインターネット機能を使えるドリームキャストは私にとって魅力的な製品でした。

初のインターネット体験は楽しいの一言でしたね~♪セガが提供してくれたサービス「ご近所さんを探せ!」で近所に住むドリームキャスト・ユーザーとメール交換を楽しんだり、様々なウェブサイトを新鮮な気分で閲覧しまくりました。

当時の通信料金は一分ごとに課金されるシステムが主流。「無駄なお金を使ってはならぬ!」とタイムウォッチ片手にジャスト59秒で切断してたっけなぁ。それからオフラインでじっくり見る、みたいな。妻の横でタイムウォッチとテレビ画面を交互に睨みながら「5・4・3…もうだめだっ!切断っ!」とか熱く叫んでいました。写真のあるホームページだと表示(ダウンロード)に時間がかかったので「がんばれっドリキャス!もう時間がないっ!」とヤキモチしたり…

愛着が増すにつれ徐々にドリキャス周辺機器を増設、キーボードやビュジュアルメモリー、更にはS端子ケーブルの利用でパソコンっぽい環境へとパワーアップ。(ちなみにセガサターン時代もキーボードやプリンターを接続してたっけ。なんのためだったっけなぁ…?そういえば電子ピアノもMIDI接続されてたぞ。色も塗って完全オリジナル仕様、フル装備のサターン!)

ゲーム機であるドリキャスを無理やりパソコンへ近づけようとした半年間は楽しくもあったのだが、周辺機器を購入するたびに性能に限界を感じてしまう。「もっと便利になるかと思ったけど…」「パソコンだと簡単なんだろうな…」ドリキャスで体験したインターネットの情報で、無知だった私に知恵がついてしまい、パソコンへの憧れ感情が増していく。

日本語入力の漢字変換が独自方式なので「ボクシング」が「僕寝具」と変換されたり、ドットの荒いテレビ画面では表示領域も狭いし、本体付属の通信モデム速度も普及機より格段に低速…。(これが高速モデムだったら、セガプロバイダーが繋ぎ放題だったら、…今頃時代のトップはセガだったかも!)

最も致命的な問題点は、ハードディスクなどによる本格的なデータ記憶装置がなかった点。ほんの僅かしか本体メモリがないので、短いメールを保存するのも厳しく、重要メール数通以外は読んだらそのまま削除していました。ダウンロードしたゲームデータを保存するにしてもビジュアルメモリ(2800円)の記憶領域を全部食ってしまったりして、そのたびに中古ショップへ走って何個も何個も買い足しする始末(俺ってカモ…?)。

パソコンにとってデータの保存・蓄積は当然の要素。やはりドリームキャストの本業はゲーム、どんなにポリゴンによる3D表示が素晴らしくても、パソコンにはなれませんでした。
皮肉なことにゲーム機のおまけ的要素であるインターネット機能にハマった結果、私はドリキャスの本道であるゲームそのもので遊ぶ習慣がなくなりました。(中古ゲームソフト屋に毎週末通っていた時期もあったけどなぁ…)

社運を賭けたドリームキャストでしたが、販売不振により製造中止に追い込まれ、セガは長年戦い続けた家庭用ゲーム機業界から撤退しました。
マスターシステム、メガドライブ、セガサターン、そしてドリームキャスト。私はなぜかセガのゲーム機が好きで歴代ハードを買い続けてきました(ソニックチームの作品が好きです。美少女ゲームはやりません。)。

ドリームキャストの製造中止と同時に私がテレビゲームで遊ぶ習慣も終わりました(ま、大人になった時期と重なったと言えば、そうなのかもなぁ…)。
ですが、私にとっての次のステージ、インターネットへのバトンタッチを促してくれたのは、紛れもなくドリームキャストという、時代を先取りしすぎた、異様なマシーンでした。感謝したいですね♪

0 件のコメント:

コメントを投稿